告知なしに、全員の管理画面へ
「気づいたら、全部のプロパティで見えるようになっていた」。Search Engine Roundtableのバリー・シュワルツ氏は8月11日、Google Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートが事実上の全面展開に入ったと報告した。Googleからの公式アナウンスはない。管理画面を開いたら増えていた、という形の到着だ。
このレポート自体は6月3日にGoogle Search Central Blogで告知されたもので、当初は一部地域のサイト運営者に限った段階展開だった。約2か月をかけて、AI OverviewsとAI Modeでの露出を、ようやく誰もが自社の数字として確認できる状態になった。
見えるのはインプレッションだけ
ただし開いてみると、期待とのズレに気づく。このレポートで確認できるのは、AI Overviews、AI Mode、そしてDiscover内の生成AI機能におけるインプレッションと、そのページ別・国別・デバイス別の内訳だ。クリック数、CTR、検索クエリは含まれていない。
もう一点、見落としやすい事実がある。これらのインプレッションは以前から通常のパフォーマンスレポートの合計値に含まれていた。今回追加されたのは新しいデータではなく、内訳の切り出しである。合計値は変わらない。「AI経由の数字が新たに乗った」のではなく、「これまで混ざっていたものが分離された」だけだ。
「7.8倍」と「0.161%」を同時に見る
同じ時期、日本市場の実測値も出ている。DEECHが8月上旬に公開した調査は、全国68社・団体の167サイトのGA4データを2025年1月から2026年6月まで追ったものだ。生成AIサービス経由の月間セッション数は487件から3,798件へ、約7.8倍に増加した。伸びは2026年4月以降に加速している。
だが同じ調査は、全流入に占める比率が0.024%から0.161%になったとも報告している。7.8倍という見出しの裏側で、絶対値は依然として全体の0.2%に届かない。
この2つの数字を並べると、実務上の含意ははっきりする。成長率で予算を組むと過大投資になり、構成比だけで判断すると打ち手が遅れる。 現時点のGEO投資は「今期の売上を取りに行く施策」ではなく「認知の置き場所を先に確保する施策」として説明したほうが、社内の合意は取りやすいはずだ。
露出と成果が、別々のKPIに分かれた
本誌は8月6日、IABが公開したAI可視性の計測指針「4つのP」を取り上げた。Presence(存在しているか)、Prominence(どれだけ目立つか)、Portrayal(どう描写されているか)、Persuasion(購買意向を動かすか)の4階層である。
今回のSearch Consoleレポートが埋めるのは、このうちPresenceと、ページ単位で見たProminenceの一部にすぎない。どんな文脈で引用されたのか(Portrayal)、それが行動につながったのか(Persuasion)は、Googleの管理画面には最後まで出てこない。
ここからは筆者の見立てだが、クエリを開示しない設計は当面続くと考えられる。AI Modeの対話クエリは従来のキーワードより長く具体的で、そのまま出せばユーザーの発話内容に近づく。プライバシー上も競争政策上も、Googleが進んで開けたい引き出しではない。一方で、クエリが出ないからこそサードパーティ計測ツールの存在価値は当面残る、という見方もできる。この空白は、Googleが埋めない限り市場が埋める。
明日からの3つの実務
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ベースラインを今週中に取る。 レポートは過去分のデータも持つが、全面展開直後の現在値をスプレッドシートに落として基準線にしておく。3か月後に比較対象がないと、この指標は解釈できない。
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AIインプレッションと通常クリックを1枚のシートに並べる。 見るべきは絶対値ではなく比率の推移だ。AI露出が伸びているのにクリックが横ばいなら、それはゼロクリック化が自社にも到達したサインになる。
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ページ別で「引用されている資産」を特定する。 インプレッションが集中しているURLは、AIが答えの材料として扱っているページだ。そこを起点に構造化データ・更新頻度・一次データの有無を見直すほうが、サイト全体を薄く改善するより効く。
「AI検索で自社がどう見えているか」は、この1週間で推測から計測に移った。ただし計測できるようになったのは半分だけだという前提は、数字を社内に出す前に添えておいたほうがいい。