2026年9月2日(水)
データ分析

Search Consoleの生成AIレポートが全ユーザーに開放——「引用された」は見えて「その後どうなった」は見えない設計の意味

8月11日、Google Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートが、公式アナウンスのないまま事実上の全面展開に入ったと報告された。だが見えるのはインプレッションだけで、クリックもCTRもクエリもない。一方、国内167サイトの実測では生成AI経由の流入は全体の0.161%にとどまる。「7.8倍」と「0.161%」を同時に見たとき、GEO投資の説明の仕方はどう変わるのか。本記事では計測できるようになった範囲と、まだ空白のままの領域を切り分け、明日から見るべき3つの実務を示す。

WebTech Journal 編集部

編集・執筆

|
|
4分で読める

告知なしに、全員の管理画面へ

「気づいたら、全部のプロパティで見えるようになっていた」。Search Engine Roundtableのバリー・シュワルツ氏は8月11日、Google Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートが事実上の全面展開に入ったと報告した。Googleからの公式アナウンスはない。管理画面を開いたら増えていた、という形の到着だ。

このレポート自体は6月3日にGoogle Search Central Blogで告知されたもので、当初は一部地域のサイト運営者に限った段階展開だった。約2か月をかけて、AI OverviewsとAI Modeでの露出を、ようやく誰もが自社の数字として確認できる状態になった。

見えるのはインプレッションだけ

ただし開いてみると、期待とのズレに気づく。このレポートで確認できるのは、AI Overviews、AI Mode、そしてDiscover内の生成AI機能におけるインプレッションと、そのページ別・国別・デバイス別の内訳だ。クリック数、CTR、検索クエリは含まれていない。

もう一点、見落としやすい事実がある。これらのインプレッションは以前から通常のパフォーマンスレポートの合計値に含まれていた。今回追加されたのは新しいデータではなく、内訳の切り出しである。合計値は変わらない。「AI経由の数字が新たに乗った」のではなく、「これまで混ざっていたものが分離された」だけだ。

「7.8倍」と「0.161%」を同時に見る

同じ時期、日本市場の実測値も出ている。DEECHが8月上旬に公開した調査は、全国68社・団体の167サイトのGA4データを2025年1月から2026年6月まで追ったものだ。生成AIサービス経由の月間セッション数は487件から3,798件へ、約7.8倍に増加した。伸びは2026年4月以降に加速している。

だが同じ調査は、全流入に占める比率が0.024%から0.161%になったとも報告している。7.8倍という見出しの裏側で、絶対値は依然として全体の0.2%に届かない。

この2つの数字を並べると、実務上の含意ははっきりする。成長率で予算を組むと過大投資になり、構成比だけで判断すると打ち手が遅れる。 現時点のGEO投資は「今期の売上を取りに行く施策」ではなく「認知の置き場所を先に確保する施策」として説明したほうが、社内の合意は取りやすいはずだ。

露出と成果が、別々のKPIに分かれた

本誌は8月6日、IABが公開したAI可視性の計測指針「4つのP」を取り上げた。Presence(存在しているか)、Prominence(どれだけ目立つか)、Portrayal(どう描写されているか)、Persuasion(購買意向を動かすか)の4階層である。

今回のSearch Consoleレポートが埋めるのは、このうちPresenceと、ページ単位で見たProminenceの一部にすぎない。どんな文脈で引用されたのか(Portrayal)、それが行動につながったのか(Persuasion)は、Googleの管理画面には最後まで出てこない。

ここからは筆者の見立てだが、クエリを開示しない設計は当面続くと考えられる。AI Modeの対話クエリは従来のキーワードより長く具体的で、そのまま出せばユーザーの発話内容に近づく。プライバシー上も競争政策上も、Googleが進んで開けたい引き出しではない。一方で、クエリが出ないからこそサードパーティ計測ツールの存在価値は当面残る、という見方もできる。この空白は、Googleが埋めない限り市場が埋める。

明日からの3つの実務

  1. ベースラインを今週中に取る。 レポートは過去分のデータも持つが、全面展開直後の現在値をスプレッドシートに落として基準線にしておく。3か月後に比較対象がないと、この指標は解釈できない。

  2. AIインプレッションと通常クリックを1枚のシートに並べる。 見るべきは絶対値ではなく比率の推移だ。AI露出が伸びているのにクリックが横ばいなら、それはゼロクリック化が自社にも到達したサインになる。

  3. ページ別で「引用されている資産」を特定する。 インプレッションが集中しているURLは、AIが答えの材料として扱っているページだ。そこを起点に構造化データ・更新頻度・一次データの有無を見直すほうが、サイト全体を薄く改善するより効く。

「AI検索で自社がどう見えているか」は、この1週間で推測から計測に移った。ただし計測できるようになったのは半分だけだという前提は、数字を社内に出す前に添えておいたほうがいい。

関連記事

データ分析

検索結果から「行き先のURL」が消えた——google.com/goto全面展開で、順位計測は1クエリ500〜1,000リクエストの世界に入る

Googleが8月26日、検索結果のリンクをgoogle.com/goto経由の転送に差し替える技術措置を認めた。計測ツールはHTMLから遷移先を読めなくなり、HEADリクエストは通らない。5ページ分の順位を解決するのに500〜1,000リクエストが必要だとNozzleは報告する。順位レポートは「安いから毎日出せた」成果物だった。その前提が崩れるとき、日本の代理店とインハウスは計測の何を捨て、何を残すのか。

データ分析

GTMスニペットが gtag('config') を無視する日が来る——「動いているから触らない」計測が、静かに壊れる側の条件

Googleがタグマネージャーのヘルプに追記した一文が重い。gtm.jsスニペットは今後 gtag('config') を認識も待機もしなくなる。GTM以外のID(G-/AW-/DC-)をgtm.js経由で読み込んでいるサイトは「非対応実装」に分類され、該当コンテナには通知メールがすでに届いている。7月9日の挙動変更から8月20日の統合発表までを時系列で追い、自社が該当するかを5分で判定する手順と、直し方2通りをまとめる。

データ分析

Search Consoleに「サイトを持たないプロパティ」が生まれた——Instagram・TikTok・X・YouTubeの検索データを、誰が月次レポートに載せるのか

Search ConsoleにInstagram・TikTok・X・YouTubeを接続できる「プラットフォームプロパティ」が段階的に展開されている。自社SNS投稿がGoogle検索やDiscoverでどう見られているかが投稿単位でわかる一方、プラットフォーム内の露出は見えず、GA4とも接続されない。サマリーと詳細で数字が合わない仕様も公式に明記されている。SEOとSNSの分業線をまたぐこの機能を、実務でどう扱うかを整理する。