YouTubeがShortsの推奨アルゴリズムで、他人のクリップをほぼそのまま再投稿するチャンネルのリーチを下げる方針を示した。Search Engine Journalの報道によれば、発表はYouTubeのCreator Insiderチャンネルの動画で行われた。
何が「オリジナルではない」とされたのか
同動画によると、画面内容を説明するだけのナレーション、軽微な技術的編集、テンプレートによる一括加工は、オリジナルとは見なされない。求められるのは、制作者自身の解説、分析、ストーリーテリングの付加だ。他者の素材を中心にしたチャンネルは配信が絞られ、オリジナル中心へ転換したチャンネルは再評価されるという。
一方で、適用開始時期も、チャンネルが自分の状況を確認する方法も示されていない。「どこから違反か」の線引きは、運用が始まって初めて見えてくるだろう。
過去の他プラットフォームと並べると見えるもの
SEJは、同種の措置がInstagramでReels向けに2024年4月、写真・カルーセル向けに2025年4月、Facebookで2025年7月に導入されたと整理している。これらを並べると、筆者は短尺動画の主要プラットフォームが、いずれも「転載で稼ぐ」層への配信を絞る方向で揃ったと読む。順序もInstagram、Facebook、YouTubeと続いており、プラットフォーム間で同じ設計思想が共有されつつあるように見える。
YouTubeの収益化ポリシーも、借用した素材は「自分のものにするために大きく変更」されている必要があるとしている。今回はその考え方が、収益化の判断から推奨(リーチ)の判断にも広がった形だ。
日本のマーケターへの示唆
ここからは筆者の考察である。日本企業のショート動画運用には、次の2つのパターンが多いと考えられる。
- 切り抜き型: 長尺の自社動画、セミナー、インタビューを短く切り出す
- 転載・引用型: ニュースや他者動画の一部を使い、テロップを付けて解説する
自社素材の切り抜きは、他者の著作物の再投稿とは性格が違う。ただ、テンプレートで機械的に量産した切り抜きが「軽微な編集」と判定されるかは、現時点で不明だ。判定基準の詳細が公開されていない以上、断定はできない。
一方、懐疑的な見方もある。再投稿をどう検出するのか、元の制作者をどう識別するのかは、まだ説明されていない。誤判定で正当な二次利用が巻き込まれるリスクは残る。
今のうちに準備すること
- 自社Shortsを棚卸しする。 他者素材の比率が高い投稿、同一テンプレートで量産した投稿を洗い出す
- 各投稿に「自社の視点」を一つ足す。 解説、比較、現場のコメントなど、元素材にない価値を冒頭10秒で見せる
- リーチの変動を記録する。 適用時期が不明なので、再生数とチャンネル登録増の推移を週次で残し、変化点を後から特定できるようにする
- 権利関係を確認する。 他者の素材を使う場合は、許諾の有無を整理しておく
アルゴリズムが「誰が最初に作ったか」を重視する方向へ進むなら、短尺動画でも勝敗を分けるのは編集量ではなく、独自の視点を持てているかどうかになる。