2026年9月2日(水)
SEO

8月のスパムアップデートは2日16時間で終わった——1年前は26日。「展開中は様子見」という定石が成立しなくなっている

Googleの8月2026スパムアップデートは8月18日開始、2日16時間で展開完了した。1年前の2025年8月スパムアップデートは26日15時間、2024年3月のコアアップデートは45日かかっている。Search Status Dashboardの記録を並べると、展開期間の短縮は明確なトレンドだ。順位変動の切り分け窓が狭くなった今、計測とレポートの手順をどう組み替えるべきかを整理する。

WebTech Journal 編集部

編集・執筆

|
|
5分で読める

「アップデートの展開が終わるまで様子を見ましょう」。SEOの現場で長く使われてきたこの一文が、今年で賞味期限を迎えつつある。待つ時間が、もう残っていないからだ。

数字を並べると、変化ははっきりしている

GoogleのSearch Status Dashboardは、ランキング関連のアップデートについて開始日と所要時間を記録している。直近2年分を抜き出すと、こうなる。

| アップデート | 開始 | 所要時間 | |---|---|---| | August 2026 spam update | 2026年8月18日 | 2日16時間 | | June 2026 spam update | 2026年6月24日 | 2日1時間 | | May 2026 core update | 2026年5月21日 | 11日21時間 | | March 2026 core update | 2026年3月27日 | 12日4時間 | | March 2026 spam update | 2026年3月24日 | 19時間30分 | | February 2026 Discover update | 2026年2月5日 | 21日17時間 | | August 2025 spam update | 2025年8月26日 | 26日15時間 | | June 2025 core update | 2025年6月30日 | 16日18時間 | | March 2024 core update | 2024年3月5日 | 45日 |

スパムアップデートは1年で26日15時間から2日16時間へ、10分の1以下になった。コアアップデートも2024年3月の45日から、2026年5月には11日21時間まで縮んでいる。

本誌は8月18日の開始時点でこのアップデートを取り上げたが、完了までの実測値が出たことで、もう一歩踏み込んだ話ができる。

「待つ」時間が消えると、何が変わるか

従来の標準的な対応は、こうだった。展開中は判断を保留し、完了アナウンスを待ってから影響を評価する。展開に2週間から1か月かかる前提なら、これは合理的だ。途中経過は中間状態にすぎず、確定値ではないのだから。

展開が2日半で終わるなら、話が変わる。気づいたときには終わっている。

ここからは筆者の解釈になるが、この短縮はGoogleの配信インフラの改善であると同時に、アップデートの粒度が変わったことの反映でもあると見ている。45日かかった2024年3月のコアアップデートは、Googleが複数のシステム変更を束ねた大規模なものだった。対して近年のスパムアップデートは、対象を絞った施策の適用に近い。適用範囲が狭ければ、展開も速く終わる。

つまり、頻度が上がり、1回あたりの射程が狭くなっている。年に数回の大波に備える発想から、常時小刻みに来る前提の運用へ切り替える、ということだ。

異論もありうる。所要時間はGoogleが自己申告している数字であって、「展開完了」の定義が変わっていないという保証はない。段階的に効果が現れる仕組みなら、ダッシュボード上の完了と体感の落ち着きがズレることも当然ある。数字を鵜呑みにせず、自サイトの変動が実際にいつ収まったかを併記して記録しておくのが安全だ。

コアアップデートは5月から3か月来ていない

もうひとつ、ダッシュボードから読めることがある。2026年に確認されているのは、2月のDiscoverアップデート、3月のスパムとコア、5月のコア、6月のスパム、8月のスパム。コアアップデートは5月21日以降、3か月間確認されていない。

これをどう読むかは分かれる。次の大型コアが近いという見方もできるし、Googleの改善がコアアップデートという単位を経由しなくなりつつある、とも読める。AI OverviewsやAI Modeの応答品質は、ランキングアップデートとは別のリリースサイクルで動いているからだ。

後者だとすると、「コアアップデートが来ていないから検索は安定している」という前提が危うくなる。実際、8月中旬にはSearch Consoleの生成AIパフォーマンスレポートでログ欠損が発生し、Googleはデータ不整合ページに記録している。順位の話とは別に、AI検索側の数字は独自に揺れていた。詳しくは8月13日から9日間、Search Consoleの数字が欠けていた件にまとめた。

手順を3つ書き換える

  1. スナップショットの粒度を上げる。 展開が2日半で終わるなら、月初にまとめてエクスポートする運用では変動の形が潰れる。アップデート告知を受けたら、その時点の順位・インプレッション分布を即座に保存する。事後に「開始前の状態」を再構築するのは難しい。

  2. 完了アナウンスを待たない。 Search Status Dashboardの完了表示は事後報告になる。開始告知の時点で計測を始め、3〜4日後には一次評価を出す運用へ。

  3. 社内説明のテンプレートを更新する。 「アップデート展開中のため、影響の評価には2〜3週間かかります」は、もう使えない。代わりに必要なのは、変動が起きたときにアルゴリズム起因か計測起因かを切り分ける手順のほうだ。

最後にひとつ。スパムアップデートは、その名のとおりスパム施策への対処であって、コンテンツ品質の総合評価ではない。展開が速くなったからといって、順位が動くたびに記事を書き換えるのは筋が悪い。まず「自サイトが対象になりうる施策を持っているか」を確認する。速くなったのは展開であって、判断ではない。

関連記事

SEO

落ちたのは「AIで書いた記事」ではなく「AIで量産した運用」——8月スパムアップデートで上位10位の16.71%が101位以下へ

Googleの8月2026スパムアップデートで、上位10位に入っていたURLの16.71%が同じキーワードで101位圏外に落ちた。アップデートのない7月の同期間は9.2%。SE Rankingの20業種10万キーワード調査が示す1.8倍の落差の裏側で、日本のSEO実務者は「全自動で立ち上げたサイトだけが飛んでいる」と観測している。Googleが公開したS-CTS論文と重ねると、見られているのは生成の手段ではなく量産の構造である可能性が浮かぶ。

SEO

「もっと見る」を押す前に、答えは全部出ている——AI Overviewの既定展開で、10本の青リンクはどこまで沈むのか

8月27日、AI Overviewが「もっと見る」を経ずに全文展開し、AIモードの入力欄まで既定で開く挙動が確認された。Googleは「一部のクエリで動的に展開する」と公式に認めている。同じ週、AIモードではサインイン要求のテストとホテル予約機能の投入も進んだ。3つの動きを重ねると、Googleが検索を「回答・対話・取引」の一体型に組み替えつつあることが見える。計測側で何が壊れるかも含めて整理する。

SEO

Googleが「パラサイトSEOの罰」をEEAだけ無効化する——8月30日から、同じページの順位が地域で分岐する

Googleが8月28日、サイト評判ポリシー(パラサイトSEO対策)の運用変更を発表した。8月30日以降、手動対策はEEA外の検索結果にのみ効き、EEA内では影響しない。代わりに該当セクションを本体から分離し、独立して評価する方式へ移行する。同時に判定因子4つと具体例も公開された。日本はEEA外だが、越境サイトの順位が地域で割れる問題と、4因子が編集タイアップの設計図として使える点を整理する。