2026年9月2日(水)
データ分析

AI経由流入の92.4%はChatGPT、しかも約3割は「サイト内検索」に着地——677万セッション分析とSearch Console新レポートが変えるAI時代のサイト設計

米Previsibleが7月6日に公開した「2026 State of AI Discovery Report」は、166サイト・677万セッション・19カ月分のLLM経由流入を分析した現時点で最大級の調査だ。ChatGPTが92.4%を占める一極集中が進む一方、その流入の28.8%は記事でも商品ページでもなく「サイト内検索の結果ページ」に着地するという構造的な発見があった。折しもSearch Consoleの生成AIパフォーマンスレポートが7月にかけて各国へ拡大中。「AI流入は計測できない」という前提が崩れた今、日本のサイト運営者が押さえるべき数字と、今週から着手できる実務を整理する。

WebTech Journal 編集部

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「AI経由の流入はまだ誤差」「そもそも計測できない」——この2つの前提が、この7月でどちらも崩れた。米SEOエージェンシーのPrevisibleは7月6日、GA4の166プロパティ・677万セッションを2024年11月から2026年5月まで19カ月間追跡した「2026 State of AI Discovery Report」を公開した。同時期に、GoogleはSearch Consoleの生成AIパフォーマンスレポートの提供範囲を英国から各国へ広げつつある。データと計測手段が同時に揃った今こそ、AI流入への向き合い方を数字で仕切り直すタイミングだ。

92.4%という一極集中——ただし「Google内のAI」は除いた数字

調査の中心的な発見は、トラッキング可能なLLM経由リファラル流入の92.4%をChatGPTが占め、なおシェアを伸ばしているという点だ。月間LLMセッションは2024年11月の65,249から2026年5月には644,478へと9.9倍に成長した。前回2025年12月時点の同調査ではChatGPTのシェアは約84%だったから、市場は分散ではなく集中に向かっている。

ただしこの数字には重要な但し書きがある。Previsible自身が明記している通り、GoogleのAI OverviewsやAIモードは「参照元として計測可能なセッション」を生まないため調査対象外だ。そしてGoogle内で起きるAI経由の流入は、独立系LLM全体の合計より大きい可能性が高いと同社は述べている。「AI流入=ChatGPT」なのは、あくまで計測可能な独立系プラットフォームの枠内での話である。本誌が6月に報じたAIモード10億ユーザー到達の分析と合わせて読むと、実際の主戦場は「Google内のAI」と「ChatGPT」の二正面であることが分かる。

勝者と敗者:Claudeは64倍、Perplexityは61%減

プラットフォーム別の明暗もはっきり出た。Claudeは2024年11月の133セッションから2026年5月の8,528へと64倍に成長し、2026年3月に月間リファラルでPerplexityを初めて上回った。Geminiは5,598から18,119へと3.2倍、変動の少ない安定成長で2番手に定着している。一方Perplexityは2025年3月のピーク(17,507)から6,788へと61%減、MicrosoftのCopilotに至ってはピーク比96%減だ。1年前に業界が有望視した挑戦者たちは、そのまま伸びなかった。

技術者や専門職の読者を持つサイトにとっては、Claudeの伸びは無視できない変化だ。調査はClaude経由のユーザーが他プラットフォームよりも長文コンテンツに深く関与する傾向も指摘している。

最重要の発見:AI流入の約3割は「サイト内検索」に落ちる

実務上もっとも示唆的なのはこの発見だろう。ChatGPTはリファラル流入の28.8%を、そのサイトの内部検索結果ページに送り込んでいる。業界横断でも約25%が内部検索着地だ。Previsibleはこれを「ドメインは信頼しているが、正しいページを特定できない」というRAG(検索拡張生成)の構造に由来するパターンだと分析している。時期や業種を問わず一貫して観測されており、一時的な仕様ではない可能性が高い。

つまりAIは「あなたのサイトのどこか」までユーザーを連れてくるが、最後の一歩はサイト内検索に委ねている。これまでコンバージョン改善の脇役だったサイト内検索が、AI時代の獲得チャネルの入口になったということだ。サイト内検索の結果品質が低ければ、AIが送り込んでくれた高意図のユーザーをドアの前で取り逃がすことになる。

計測環境も整った——Search Console「生成AI」レポートが各国へ拡大

Googleは6月3日、AI OverviewsとAIモードでの表示実績を通常の検索データから分離して見せる生成AIパフォーマンスレポートをSearch Consoleに導入した。当初は英国の一部サイト向けだったが、6月下旬からインド・米国・スイスなどのサイトでも表示報告が相次ぎ、GoogleのJohn Mueller氏も段階的な拡大を認めている。レポートで見られるのは表示回数・ページ・国・デバイス・日付で、クリックデータは含まれない。この始動については本誌6月の記事で詳しく解説している。

日本のマーケターが今週やるべき3つのこと

第一に、GA4でchatgpt.com、gemini.google.com、claude.ai、perplexity.aiなどからのリファラルをセグメント化し、自社のAI流入のベースラインを取ること。Previsibleの手法はGA4の標準機能で再現できる。第二に、AI流入をサイト全体の平均で見ないこと。調査ではECの商品ページや金融のコンバージョンページなど、特定ページタイプにAI流入が数倍の密度で集中していた。ページタイプ別に見なければ実態を見誤る。第三に、サイト内検索の結果ページを「ランディングページ」として扱い、検索結果の品質・計測・導線を点検すること。全体に占めるAI流入の比率はまだ1%前後の世界だが、9.9倍という成長率と着地パターンの構造性を踏まえれば、準備を始めるコストは今がもっとも安い。

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