Google検索の売上成長率が2四半期連続で鈍った。Alphabetの2026年Q3決算で、検索・その他の売上は633.5億ドル、前年比12%増。Q1の19%、Q2の17%から続けて下がった。Search Engine Journalの報道によれば、Googleの最高事業責任者Philipp Schindler氏は減速要因の一つに「AIモードの収益化が低いこと」を挙げた。広告主にとっては、AIモードの拡大が自分たちの出稿環境に何を意味するのかを考える材料になる。
決算で確認できた事実
数字の骨格はこうだ。検索・その他の売上は633.5億ドルで、Q2の632.7億ドルとほぼ横ばい。Sundar Pichai氏はCEOレターで、検索のクエリ成長率が5年で最も高いと述べ、AIモードのクエリは従来検索の平均3倍の長さだと説明した。
減速の理由は、報道ベースで3つある。為替の影響(Q2比で最大の要因)、EUの低額輸入品の免税撤廃によるアジア太平洋の小売広告主への打撃、そして2026年FIFAワールドカップを含んだQ2の後でメディア・エンタメの出稿が平常化したことだ。AIモードの収益化の低さは、その一つとして語られた。Schindler氏は「何と比べて低いのか」「売上への影響額」は明らかにしていない。
AIモードの広告は広がる——ただし日本は名前が挙がっていない
同報道によると、AIモード広告は豪州、カナダ、インド、ケニア、マレーシア、ニュージーランド、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、シンガポールの10市場で拡大中。Q4にはブラジル、メキシコ、英国への展開も予定される。米国では、AIモード内の追質問に連動するマルチターン広告が始まり、既存の検索、ショッピング、P-MAXキャンペーンが原則として自動的に対象になる。個別にオプトアウトできないとされる点は、運用者として覚えておきたい。
Googleのチームは、AIモードのショッピング面でスポンサーと自然検索の商品リストのクリック率が近いと説明している。ただしこれは米国の社内データ(8月20日〜9月3日)で、外部の検証はない。日本が挙がっていない点も含め、国内で同じ水準になる保証はない。
考察:「クエリは増えるが、単価は下がる」構造をどう読むか
筆者が注目するのは、Schindler氏が多くの新しいAI検索の質問が上位ファネル(情報収集)で、AIモードのクエリの大半が追加的だと説明した点だ。もし情報収集の質問が検索全体を押し上げているなら、その分は直接の購買意図が薄く、クリック単価やコンバージョン率が従来の指名・商品検索より低くなる可能性がある。これは筆者の仮説で、Googleは数字を示していない。
一方で、AIモードのリンク表示が増える変更や、連携アプリの情報が広告に影響し得る問題を重ねると、Googleは「AIの回答面に広告を載せる」方向を固めつつあると読める。収益化の低さは、広告主にとっては競争環境が緩い期間でもある。
反対の見方もある。為替などの外的要因が減速の主因なら、AIモードが特別な足かせとは言えない。決算説明の範囲で因果は切り分けられない。
国内の広告運用者が今やること
- 検索キャンペーンのレポートで、情報収集系クエリと購買系クエリのCPA・CVRを分けて見る習慣をつける
- P-MAX、ショッピングの配信先が将来AIモードを含む前提で、アセットと商品フィードの品質を点検する
- 日本導入の発表時に慌てないよう、AIモード経由の流入・CVを分けて追える計測設計を先に用意する
検索の成長と検索広告の成長が同じ速度で進まない局面が、公式の数字で見え始めた。それをどう予算配分に反映するかは、これからの運用者の腕の見せ所になる。